国際ロマンス詐欺の軍人・医師なりすましに注意|40代女性が狙われる手口と見分け方

日曜の夜、10時過ぎ。お風呂上がりでちょっとリラックスした気分でスマホを開くと、彼から新着メッセージが届いていました。「今日も現場で大変だったよ。早く君に会いたい」。差出人は、国連平和維持活動で中東に派遣されているというアメリカ人の軍医。マッチングアプリで知り合って3週間、毎日欠かさず届く長文のメッセージに、いつしか「この人は本物かもしれない」と思うようになっていた自分がいました。

プロフィール写真は、彫りの深い端正な顔立ちで、迷彩服姿の凛々しい一枚。「戦地にいるから会えないけれど、任務が終わったら日本に行く」「君だけが心の支えだ」。忙しい毎日の中で、そんな言葉をかけてくれる人がいるだけで、心がふっと軽くなる気がしていました。でも、ある夜届いたメッセージに、少しだけ引っかかりを覚えたのです。「実は、任務中に集めた資金を君に送りたいんだけど、税関で止められてしまって。手数料さえ払えば受け取れるんだ」――。

結局そのメッセージには返信をしませんでした。でも、心のどこかで「もしあのまま信じ続けていたら、自分はどうなっていたのだろう」という怖さが残りました。3週間、毎日届いていた優しい言葉が、実は誰か知らない誰かに向けて量産されているテンプレートだったのかもしれない。そう思うと、婚活そのものへの向き合い方を見直したくなったのです。

婚活で増えている詐欺の種類(ロマンス詐欺・結婚詐欺・投資勧誘)

マッチングアプリや婚活サイトを利用する40代女性が増えるにつれて、そこに付け込む詐欺の手口も年々巧妙になっています。代表的なものは大きく3つに分けられます。1つ目は、恋愛感情を利用してお金を騙し取る「ロマンス詐欺」。2つ目は、結婚をちらつかせて金品を要求する「結婚詐欺」。そして3つ目は、親密になった相手から投資や暗号資産の運用を持ちかけられる「投資勧誘型詐欺」です。

警察庁のSOS47(特殊詐欺対策ページ)によると、2025年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,604件、被害額は552.2億円にのぼり、前年からそれぞれ46.5%、37.8%増加しています。中でも見過ごせないのが、被害額の実に4分の3を40〜60代が占めているという事実です(警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」)。婚活世代である40代女性にとって、決して他人事ではない数字なのです。

典型的な手口(最新データ・警察庁統計)

会わずにメッセージだけで親密になる

ロマンス詐欺、とりわけ「国際ロマンス詐欺」と呼ばれるタイプに共通するのが、実際には一度も会わないまま、メッセージのやり取りだけで急速に関係を深めていく点です。相手は「海外に赴任中の軍人」「紛争地域で活動する国連職員」「船で航海中の医師」など、会えない理由を最初から用意した肩書きを名乗ることがほとんどです。

警察庁や各地の消費生活センターの注意喚起でも、こうした相手は実在の軍人や医師の写真を無断で使い、毎日欠かさずメッセージを送ることで信頼関係を作り上げると指摘されています。忙しい日常の中で、決まった時間に「おはよう」「おやすみ」を送ってくれる存在は、想像以上に心の拠り所になってしまうものです。だからこそ、会えないことへの違和感が、次第に「お互いを深く理解し合っている証拠」にすり替わっていきます。

「二人の将来のために」と投資・送金を促す

信頼関係ができあがった頃合いを見計らって、詐欺師は具体的な金銭の話を持ちかけてきます。典型的なのが「任務で得た多額の資金や高価な贈り物を君に送ろうとしたが、空港や税関で止められてしまった。受け取るには手数料や関税が必要だ」という、いわゆる「箱もの」と呼ばれる手口です。他にも「二人の将来のために、一緒に資産運用をしよう」と暗号資産や海外の投資サイトへの入金を促すパターンも急増しています。

一度支払ってしまうと「もう少しで受け取れる」「あと少しの手続きだけ」と、次々に新しい名目の請求が続くのが特徴です。断ろうとすると「僕を信じられないのか」「愛しているなら協力してほしい」と、感情に訴えかけてくるのも共通したパターンです。

さらに近年は、送金の手段として銀行振込だけでなく暗号資産(仮想通貨)の購入・送付を指示されるケースが目立ってきています。暗号資産は着金確認後に取り戻すのが極めて難しく、警察庁の統計でも暗号資産送信型の被害額は前年比188.0%という急激な伸びを見せています。「投資の勉強も兼ねて」「二人だけの秘密の資産形成」といった甘い言葉で、専用のアプリや取引サイトへの登録を促された場合は、たとえ相手にどれほど好意を持っていても、一度立ち止まって周囲に相談することが欠かせません。

狙われやすい人の特徴と、40代以上が標的になる理由

詐欺師が40代以上の女性を狙う理由は、決して「騙されやすいから」ではありません。むしろ逆で、長年の仕事や子育てを通じて経済的に自立し、ある程度の貯蓄や安定した収入を持っている世代だからこそ、標的にされやすいのです。加えて、子どもの独立や親の介護などで生活の節目を迎え、「これから自分の人生を大切にしたい」という気持ちが強まる時期でもあります。その前向きな気持ちに、詐欺師は巧みに付け込んできます。

また、日中は仕事に追われ、じっくり人と話す時間が取りにくいからこそ、夜にゆっくり届く優しいメッセージが特別な存在に感じられやすいという側面もあります。「毎日連絡をくれる」「話を丁寧に聞いてくれる」という安心感こそが、実は詐欺師が意図的に作り出している演出だということを、まず知っておくことが大切です。

詐欺師は一人の相手だけを狙っているわけではなく、同じ手口を何十人、何百人にも同時進行で送っていると言われています。そのため使われる言葉は驚くほどパターン化されていて、「運命の出会い」「君だけが特別」といった甘い表現も、実は多くの相手に向けて使い回されているテンプレートである可能性が高いのです。それを知っているだけでも、いざという時に冷静さを取り戻す助けになります。

詐欺を見分けるチェックリスト

次のような特徴に複数当てはまる場合は、一度立ち止まって冷静に相手を見直してみてください。

・プロフィール写真が海外の雑誌やSNSの画像を流用したような、モデル級に整った容姿である
・「軍人」「医師」「エンジニア」「国連職員」など、海外で活動しており会えない理由を持つ肩書きを名乗る
・出会って間もないのに、毎日長文のメッセージや「愛している」といった言葉を送ってくる
・ビデオ通話や実際に会う提案をすると、理由をつけてはぐらかされる
・お金、贈り物、暗号資産の受け取りや送金に関する話が出てくる
・日本語の言い回しがどこか不自然、または翻訳ソフトを使ったような文章である
・SNSのアカウントが最近作られたばかりで、投稿数や友人の数が極端に少ない

一つでも「あれ?」と引っかかる部分があれば、その直感を大切にしてください。相手の写真を画像検索にかけてみる、家族や友人に相談してみるだけでも、見えてくるものが変わってきます。

安全に婚活するには(本人確認のある相談所のメリット)

マッチングアプリやSNSは手軽に出会える一方で、相手が本当に名乗った通りの人物なのかを確かめる手段がほとんどありません。だからこそ、婚活の場そのものを、本人確認や独身証明が徹底された環境に変えるという選択肢が、遠回りのようで実は一番の近道になることがあります。

結婚相談所では、入会の際に運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類に加え、独身証明書や収入証明書の提出が求められるのが一般的です。「本当にこの人は実在する人なのか」「経歴に嘘はないか」といった不安を、最初から取り除いた状態でお相手探しができるのは、大きな安心材料になります。もちろん相談所を使ったからといって100%トラブルがなくなるわけではありませんが、少なくとも「会ったこともない海外の軍人」に貯金を託すようなリスクとは、根本的に性質が異なります。

いきなり入会を決める必要はありません。まずは資料を取り寄せたり、無料相談で話を聞いてみたりするだけでも、「安心して婚活できる場所がある」と知ることが、次の一歩につながります。


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