土曜の夜、9時。お風呂上がりのソファで、既読がついたままの自分のLINE画面を何度も見つめていませんか。
マッチングアプリで知り合って3週間。「本当に将来のことを考えている」「君にだけは正直でいたい」——そう言われて舞い上がったのも束の間、先週あたりから「投資の話」が混じるようになった。おかしいと思う自分と、「でも彼はいい人だし」と信じたい自分がせめぎ合う。
誰かに話したい。でも、母には「またそういう話?」と言われそうで、友人には「なんでそんな人を好きになったの」と呆れられそうで、結局スマホをそっと閉じてしまう——。40代で婚活をしていると、こういう夜を過ごしたことがある方は、実は少なくありません。
「心配をかけたくない」「いい大人なのに騙されかけてるなんて言えない」。そう思って一人で抱え込むうちに、判断力はどんどん鈍っていきます。相手のことは半分疑いながらも、「もし本当にいい人だったら、ここで切ったら後悔するかもしれない」という気持ちも捨てきれない。この宙ぶらりんな状態こそ、詐欺師にとって一番つけ入りやすいタイミングなのです。
この記事では、婚活詐欺の最新の手口と統計、そして「家族や友人に相談できない」というモヤモヤをどう扱えばいいのかを、一緒に整理していきます。
婚活で増えている詐欺の種類(ロマンス詐欺・結婚詐欺・投資勧誘)
ひとくちに「婚活詐欺」と言っても、実はいくつかのタイプがあります。
ひとつは「ロマンス詐欺」。SNSやマッチングアプリで知り合い、恋愛感情を利用してお金をだまし取るタイプです。もうひとつは「結婚詐欺」。結婚を前提に交際を装い、生活費や借金の肩代わりなどの名目でお金を引き出します。そして近年急増しているのが「投資勧誘型」。恋愛関係を築いたうえで、暗号資産やFXなどの投資話に誘導するパターンです。
これらは別々に存在するというより、最近は組み合わさって進行するケースが増えています。最初は普通の恋愛トークから始まり、信頼関係ができた頃合いを見計らって、結婚の話と投資の話が同時に出てくる。境目があいまいだからこそ、「詐欺かも」と気づくタイミングが遅れやすいのです。
国民生活センターに寄せられる相談でも、「結婚を約束されていたので信じてしまった」「投資の話をされたときにはすでに好きになっていた」という声が目立ちます。恋愛感情と金銭トラブルがセットになっているぶん、被害に気づいた後も「好きだった気持ちまで否定された気がする」というつらさが残るのが、この手の詐欺の厄介なところです。
典型的な手口(最新データ・警察庁統計)
警察庁のSOS47(特殊詐欺対策ページ)によると、令和7年(2025年)の1年間で認知されたSNS型ロマンス詐欺は5,604件。前年から1,780件、率にして46.5%も増加しています。被害額も552.2億円にのぼり、前年より151.4億円(37.8%増)増えました。決して他人事ではない規模で被害が広がっています。
手口には、いくつかの典型パターンがあります。
会わずにメッセージだけで親密になる
「仕事が忙しくて」「海外にいて」などの理由をつけ、なかなか実際に会おうとしない。その代わりメッセージやLINEでのやり取りは毎日欠かさず、時には1日に何十通も送ってくる。物理的な距離があるぶん、言葉だけで関係を深めようとするのが特徴です。
そしてこの段階でよくあるのが、「このことは二人だけの秘密にしよう」「家族に話すとまだ早いと言われそうだから、もう少し内緒にしておこうね」という誘導です。一見ロマンチックに聞こえますが、これは相手があなたを周囲の目から切り離し、冷静な意見が入らないようにするための常套句でもあります。家族や友人に話しづらいと感じているとしたら、それは決して「あなたの気の弱さ」のせいではなく、そう仕向けられている可能性があることを知っておいてください。
「二人の将来のために」と投資・送金を促す
関係が深まったところで、「二人の将来のために資産を増やしておきたい」「知り合いが特別に紹介してくれる投資案件がある」といった話が出てくる。断ると「僕たちの将来に興味がないの?」と関係性そのものを盾に取られることもあります。国民生活センターへの相談事例でも、こうした「将来を人質にした金銭要求」が非常に多いパターンとして報告されています。
要求される名目もさまざまです。「暗号資産の取引アプリに入金してほしい」「事業の運転資金が一時的に足りない」「あなたの名義で口座を作ってほしい」など、最初は少額から始まり、一度応じると徐々に金額が大きくなっていくのが典型的な流れです。少しでも「あれ、話が最初と違う」と感じたら、その違和感を無視しないことが何より大切です。
狙われやすい人の特徴と、40代以上が標的になる理由
警察庁のデータでは、SNS型ロマンス詐欺の女性被害者のうち40代が全体の29.6%と最も多く、40〜50代の女性だけで被害者全体の57.5%を占めるという結果が出ています。決して「若い人が騙されやすい」わけではなく、むしろ40代以上の女性が最も狙われやすい年代なのです。
理由として考えられるのは、経済的に一定の蓄えがあること、結婚への焦りや孤独感につけ込みやすいこと、そして「もう年齢的に後がない」という気持ちから、多少の違和感を飲み込んでしまいやすいことです。さらに、40代になると「こんなことで周りに心配をかけたくない」「いい年をして騙されたなんて恥ずかしい」という気持ちが強くなり、結果的に一人で抱え込んでしまう方が多いのも事実です。
実際、婚活詐欺の相談窓口に寄せられる声の中には「もっと早く誰かに話していれば」というものが少なくありません。恥ずかしさよりも先に、まず誰かに話してみることが、被害を最小限に抑える一番の近道になります。
もし今、家族や友人にどうしても言い出せないなら、無理に打ち明ける必要はありません。消費生活センター(局番なしの188)や警察相談専用電話(#9110)など、身近な人を介さずに話せる公的な窓口もあります。「まだ被害が確定していないから相談していいのかわからない」と思う方も多いのですが、こうした窓口は疑いの段階でも対応してくれます。身内に知られる不安を抱えたまま抱え込むより、先に専門の相手に状況を整理してもらう方が、結果的に気持ちも軽くなります。
詐欺を見分けるチェックリスト
以下の項目に3つ以上当てはまる相手には、注意が必要です。
・出会って間もないのに「運命」「将来」といった言葉を多用する
・会おうとすると必ず理由をつけて先延ばしにする
・「二人だけの秘密」「まだ誰にも言わないで」と口止めをしてくる
・仕事や資産について具体的なのに、詳しく聞くと話が変わる
・投資や副業、暗号資産の話題を自分から切り出してくる
・お金の話になると急に優しくなる、または急に感情的になる
・プロフィール写真と実際の雰囲気にどこか違和感がある
一つひとつは些細に見えても、重なると危険信号です。「なんとなく変」という直感は、意外と当てになります。
安全に婚活するには(本人確認のある相談所のメリット)
婚活詐欺がこれだけ増えている背景には、マッチングアプリの多くが匿名性の高い出会いの場になっていることがあります。名前も年齢も、極端に言えば「本当にその人かどうか」さえ、確認しないまま関係が進んでしまう。
一方、結婚相談所の多くは入会時に独身証明書や本人確認書類の提出を必須にしています。年収や勤務先の確認が入るところもあり、「実在する、独身の、名乗った通りの人物」であることが前提になった状態で出会えるのは、大きな安心材料です。何より、担当のカウンセラーがいることで、「この人ちょっと変かも」と思ったときに、家族や友人に言いにくくても、第三者としてすぐに相談できる相手がいます。
家族には話しづらい恋愛の悩みも、婚活のプロという立場のカウンセラーになら、案外すんなり話せることがあります。「今の相手、ちょっと気になる言動があって」と相談すれば、これまで何百人もの会員を見てきた視点から、率直な意見をもらえるのも心強いところです。一人で「大丈夫、考えすぎ」と自分に言い聞かせ続けるより、客観的な目を一つ持っておくだけで、判断のブレは大きく減ります。
一人で抱え込まず、まずは話だけでも聞いてもらう。それだけで、気持ちがぐっと軽くなることがあります。
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