木曜の夜、免許証にスマホのカメラを向けたまま指が止まった
木曜の夜9時すぎ。お風呂から上がって、やっと自分の時間になったタイミングでマッチングアプリのダウンロードを済ませました。プロフィールを入力し、写真を選び、あとは「本人確認書類の提出」というボタンを押すだけ。財布から運転免許証を取り出し、スマホのカメラをかざしたところで、ふと手が止まりました。
生年月日の欄がくっきり写る角度。画面越しとはいえ、見知らぬ運営会社の誰かがこれを確認するという事実に、急に落ち着かない気持ちになったのです。「これって本当に安全なのかな」「変なところに悪用されたりしないかな」。そして何より、免許証に印字された生年月日を自分の目で改めて見て、「もうこんな年齢なんだ」と、想像していなかったところで現実を突きつけられた気がしました。
結局その夜は撮影ボタンを押せないままアプリを閉じてしまいました。プロフィールを見てもらうことも、メッセージのやり取りをすることもできないまま、スマホの中には「本人確認が完了していません」という通知だけが残り続ける。婚活を始めようとした一歩目でつまずいてしまったような、そんなモヤモヤを抱えている40代女性は、実は少なくありません。
なぜ40代女性はアプリで失敗しやすいのか
マッチングアプリの年齢確認・本人確認は、決して意地悪な手続きではありません。むしろ利用者を守るために法律で定められた必須の仕組みです。しかし、その「安全のための壁」が、40代女性にとってはかえって重くのしかかる場面があります。
年齢で足切りされる構造
マッチングアプリを含む異性紹介サービスは「出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)」により、利用者が18歳以上であることの確認が事業者に義務づけられています。本人確認を済ませなければメッセージのやり取りができない仕組みになっているのはこのためです(出典:TrustDock「出会い系サイト規制法とは。マッチングアプリや婚活サイト事業者に必要な本人確認の要件を解説」)。つまり、あの緊張する本人確認のステップは、40代女性が個人的に「試されている」わけではなく、全利用者が通る道なのです。
それでも心理的な負担が大きく感じられるのは、確認を終えた先に待っているのが「年齢で検索から外れる」という現実だからです。男性会員が検索条件で年齢の上限を設定していれば、本人確認をどれだけ丁寧に済ませても、そもそも検索結果に表示されません。リクルートブライダル総研の「婚活実態調査2024」によると、独身者の婚活サービス利用経験割合は26.3%で、婚活サービスを通じて結婚した人のうちネット系婚活サービス経由の割合は過去最高を更新しています(出典:株式会社リクルート「婚活実態調査2024」プレスリリース、2024年9月24日)。市場は確実に広がっているのに、年齢で足切りされる構造自体は変わっていない。この矛盾が、本人確認という最初のハードルをより重く感じさせているのかもしれません。
遊び目的・既婚者・業者の存在
本人確認は「18歳以上かどうか」を確認するものであり、独身かどうか、真剣に結婚を考えているかどうかまでは保証してくれません。実際、身分証で年齢確認を済ませたはずの相手が、既婚者を隠して登録していたり、遊び目的だったり、勧誘目的の業者だったりするケースは後を絶ちません。せっかく勇気を出して本人確認という壁を越えたのに、その先で信頼できない相手に当たってしまうと「あの手続きは一体何のためだったんだろう」という徒労感につながります。年齢確認は安全のための最低ラインであって、相手の誠実さまで保証するものではない――この事実を知らないまま利用を始めると、想像以上に消耗してしまうのです。
よくある失敗パターン5選
本人確認・年齢確認の壁をめぐって、40代女性からよく聞かれる失敗パターンを整理しました。
1. 身分証をアップロードする直前で怖くなり、そのまま放置してしまう
「見知らぬ会社に個人情報を預ける」という感覚に踏み切れず、ボタンを押せないまま数日、数週間が経ってしまう。結果的にプロフィールは作ったのに一度もメッセージを送れないまま、アプリの存在自体を忘れてしまうパターンです。
2. 写真が不鮮明などの理由で再提出を求められ、心が折れる
反射で文字が読み取れない、影で生年月日が隠れているなどの理由で一度リジェクトされると、「もう一度あの緊張する作業をやり直すのか」という気持ちが勝ってしまい、そこで手続きが止まってしまいます。
3. 本人確認を終えたのに、なりすましや重複登録の相手と再びマッチングしてしまう
自分は身分証まで提出して真剣に取り組んだのに、相手は年齢確認だけ済ませた遊び目的や業者アカウントだった、というケース。「確認したのは自分だけ」という不公平感が、アプリ全体への不信感につながります。
4. 機種変更やアプリの再インストールのたびに本人確認をやり直す必要があり、心理的ハードルが上がる
一度乗り越えたはずの壁が、環境が変わるたびに何度も現れる。そのたびに「また身分証を撮るのか」という億劫さが積み重なり、結局アプリから離れていく人もいます。
5. 身分証の生年月日を見て、自分の実年齢を突きつけられて落ち込む
プロフィール写真は気に入っているものを選んでいても、本人確認では免許証のありのままの生年月日と向き合うことになります。ちょっとした場面のはずが、想像以上に気持ちが沈んでしまったという声も多く聞かれます。
「アプリが悪い」のではなく「合っていなかった」だけ
ここまで読むと、本人確認という仕組み自体が煩わしいもののように感じるかもしれません。しかし年齢確認・本人確認は、なりすましや未成年の利用を防ぎ、利用者全体の安全を守るために欠かせない仕組みです。仕組みそのものが悪いわけではありません。
問題なのは、「身分証をスマホで撮って、見知らぬシステムにアップロードし、あとは結果を待つだけ」という、人の顔が見えない自己完結型の手続きが、すべての人に合うとは限らないという点です。特に40代になると、個人情報の扱いへの慎重さが増したり、誰かに事情を説明しながら物事を進めたいと感じたりする場面が増えてきます。それ自体は決して臆病なことではなく、自然な感覚です。
「本人確認のボタンを押せなかった自分はダメだ」と責める必要はありません。それは、アプリという手法そのものが、今のあなたには合っていなかっただけかもしれないのです。人を介さず一人で完結させる仕組みより、「誰が・どんな基準で確認しているか」を最初から人の言葉で説明してもらえる環境の方が、安心して一歩を踏み出せる人は少なくありません。
アプリと結婚相談所の違い
本人確認・年齢確認というひとつの手続きをとっても、アプリと結婚相談所では「誰が」「どのように」確認するかが大きく異なります。
| 比較項目 | マッチングアプリ | 結婚相談所(仲人型) |
|---|---|---|
| 確認方法 | スマホで身分証を撮影し、システムへ自分でアップロード | スタッフと対面・オンライン面談をしながら書類を提出 |
| 確認する内容 | 18歳以上かどうかの年齢確認が中心 | 独身証明書・収入証明書など、より踏み込んだ審査 |
| 不安や疑問への対応 | 基本はFAQやチャットボットでの自己解決 | 担当者にその場で質問し、口頭で説明してもらえる |
| 確認後の安心感 | 年齢は確認済みでも、真剣度までは分からない | 入会審査を経た会員同士なので一定の担保がある |
| 向いている人 | 自分のペースで淡々と手続きを進められる人 | 人に説明してもらいながら安心して進めたい人 |
リクルートブライダル総研の調査では、各婚活サービスの利用者を母集団とした成婚割合は婚活サイト45.2%、結婚相談所29.8%と報告されており(出典:株式会社リクルート「婚活実態調査2024」プレスリリース、2024年9月24日)、どちらか一方が正解というわけではありません。大切なのは、確認や審査のプロセスも含めて「自分が安心して進められる方法かどうか」で選ぶことです。
まとめ:まずは話を聞いてみるという選択肢
本人確認のボタンを押せずにアプリを閉じてしまったとしても、それはあなたが婚活に向いていないという意味ではありません。むしろ、個人情報や自分の状況を丁寧に扱いたいという、ごく自然な慎重さの表れです。
もし「一人で黙々と手続きを進めるより、人に説明してもらいながら進めたい」と感じているなら、結婚相談所という選択肢を一度覗いてみるのもひとつの方法です。いきなり入会する必要はありません。まずは複数の相談所を比較しながら、話だけ聞いてみるところから始めてみませんか。
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