土曜の夜7時、待ち合わせのカフェで向かい合った相手は、プロフィールに「年収1200万円・外資系勤務」と書いていた男性でした。会話が弾み、仕事の話になったとき、勤務先の詳細を聞くとどこか曖昧な返事ばかり。「部署異動が多くて」「守秘義務があるので」とはぐらかされ、帰り道で検索してみると、名乗っていた会社にそのポストは存在しないことが分かりました。「条件のいい人だと思ったのに」というがっかり感より先に、「またこのパターンか」という疲れがどっと押し寄せてきたのを覚えています。
電車の中で「本当のことを知れてよかった」と自分に言い聞かせながらも、頭の中では「じゃあ、これまでのやり取りの時間は何だったんだろう」という虚しさが渦巻いていました。マッチングアプリでは、プロフィール欄の年収や職業は基本的に自己申告です。悪意なく「盛って」しまう人もいれば、最初から信頼を得るための道具として使う人もいます。40代で婚活をしていると、こうした「話が違った」を一度や二度は経験している方も多いのではないでしょうか。この記事では、なぜ40代女性がアプリでこうした失敗をしやすいのか、そしてその疲れをどう次につなげればいいのかを一緒に考えていきます。
なぜ40代女性はアプリで失敗しやすいのか
年齢で足切りされる構造
マッチングアプリの多くは、相手が設定した年齢条件に合わないユーザーを検索結果に表示しない仕組みになっています。相手が上限を「39歳まで」に設定していれば、40代の女性はどれだけプロフィールを丁寧に作り込んでも、そもそも画面に表示されません。中身を見てもらう以前の段階で選択肢から外れてしまうのです。大手アプリでは40代以降の同世代比率が10〜15%程度まで下がるとされており、年齢層に偏りのあるアプリを選ぶと、この「足切り」の影響をより強く受けることになります。
この構造を知らないまま「いいねが来ないのは自分に魅力がないから」と受け止めてしまうと、必要以上に自分を責めることになります。実際には、アプリの仕組み上そもそも土俵に上がれていないだけ、というケースも少なくありません。
遊び目的・既婚者・業者の存在
年齢の壁に加えて見過ごせないのが、真剣度の異なる相手が同じ土俵に混在しているという現実です。こども家庭庁が2024年に行った調査では、既婚者の57%がマッチングアプリの利用経験があると回答しており、未婚者の利用経験率27%を大きく上回っています(出典:こども家庭庁「ウェブアンケート調査結果」)。すべてが不誠実な利用とは限りませんが、婚活目的で活動している側からすると、相手の本気度を見極める負担が常につきまとうことになります。
さらに、プロフィールの年収情報についても注意が必要です。ある調査では、男性利用者の約53%が「プロフィールの年収を実際よりも高く記載したことがある」と回答しています(出典:株式会社クリプタル「年収、どれくらい盛ってる?マッチングアプリの嘘とリアルな収入事情」)。国税庁の統計では年収1000万円以上の給与所得者は全体の約4.5%とされており、アプリ上で「高年収」を名乗る人の多さと、実際の分布との間には少なからぬギャップがあることがうかがえます(出典:国税庁民間給与実態統計調査)。こうした自己申告の甘さが、冒頭のようなすれ違いを生む土壌になっています。
よくある失敗パターン3〜5選
40代女性がアプリでよく経験する失敗には、いくつかの共通パターンがあります。
- 年収・職業を信じて期待しすぎた:プロフィールの数字を鵜呑みにして会う約束をし、実際は大きく違っていたと後から分かる。
- 肩書きだけで「条件のいい人」と判断してしまった:年収や役職といった表面的なスペックを優先し、価値観のすり合わせを後回しにしてしまう。
- 「証明されていない情報」を疑わずに時間を使ってしまった:数週間やり取りを重ねてから違和感に気づき、それまでの時間が徒労に感じられる。
- 写真と実物の印象が大きく違った:加工や古い写真が原因で、初対面で戸惑い、会話に集中できなくなる。
- 「本気度」を見極める基準がなく疲弊した:相手の熱量が分からないまま何人ともやり取りを続け、気力だけがすり減っていく。
これらに共通するのは、「本人が申告した情報を信じるしかない」というアプリの構造そのものです。悪気のある人ばかりではないとしても、確認する手段がない以上、見極めの負担はすべて自分に返ってきてしまいます。特に40代になると、仕事や介護、体調管理など日々こなすことが多く、婚活に割ける時間そのものが限られています。その限られた時間を「相手の申告が本当かどうかを確かめる作業」に使わざるを得ないというのは、想像以上に大きな消耗につながります。
「アプリが悪い」のではなく「合っていなかった」だけ
カフェでの一件のあと、しばらくは「もう誰の言葉も信じられない」という気持ちで婚活そのものから距離を置いていました。ですが時間が経って振り返ると、アプリというサービス自体が悪いわけではなく、「自己申告の情報だけで相手を見極める」というやり方が、当時の自分には合っていなかっただけなのだと気づきました。
アプリは、忙しい毎日の合間に気軽に出会いの機会を広げられるという点で優れた仕組みです。ただし、プロフィールの真偽を自分ひとりで見抜き、時間をかけて確かめていく作業には、想像以上のエネルギーが必要になります。40代になり、仕事や家庭、親のことなど背負うものが増えている中で、その負担を毎回一から引き受け続けるのは、決して楽なことではありません。「見抜けなかった自分が甘かった」のではなく、「見抜く負担を一人で背負う仕組みの中にいた」というだけなのだと捉え直せたとき、少し肩の力が抜けたのを覚えています。
アプリと結婚相談所の違い
同じ「婚活」でも、情報の確からしさという点でアプリと結婚相談所には大きな違いがあります。
| マッチングアプリ | 結婚相談所 | |
|---|---|---|
| プロフィール情報 | 基本的に自己申告 | 独身証明書・収入証明書などの提出が必要 |
| 年収の確認 | 確認手段なし | 源泉徴収票・納税証明書などで確認(IBJ加盟社の場合、男性は原則必須) |
| 本気度の見極め | 自分でメッセージから判断 | 入会審査があり、活動目的が真剣な人に絞られやすい |
| 相手探しの負担 | すべて自分で対応 | カウンセラーが間に入りサポート |
結婚相談所、特にIBJに加盟している事業者では、男性会員の年収確認が原則必須とされ、源泉徴収票や納税証明書といった書類で裏付けを取る仕組みになっています(出典:IBJ加盟結婚相談所の入会基準に関する各社案内)。プロフィールの数字を信じるかどうかを自分ひとりで判断しなければならないアプリと違い、そもそも「確認された情報」からスタートできるという点は、大きな安心材料になります。
もちろん、結婚相談所にも料金がかかりますし、アプリのような気軽さはありません。ですが、「情報の裏付けを取る作業」をカウンセラーや運営の仕組みに任せられる分、自分は「この人と自分は合いそうか」という、本来もっとも時間をかけたい部分に意識を向けられるようになります。見極めのための神経をすり減らす婚活から、相性を見極めるための婚活へ――そこが、アプリと結婚相談所の一番の違いだと感じています。
まとめ
年収を信じて会いに行ったら話が違った、という経験は、あなたの見る目がなかったからではありません。自己申告の情報だけで相手を見極めなければならない仕組みの中では、誰にでも起こり得ることです。大切なのは、その失敗を「自分のせい」で終わらせず、「自分に合った探し方はどれか」を見直すきっかけにすることだと思います。
今すぐアプリをやめる必要はありませんし、結婚相談所に入会を決める必要もありません。まずは、確認された情報をもとに出会える仕組みがどんなものか、話だけ聞いてみませんか。
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