日曜の夜8時、実家から母の電話が鳴りました。「元気にしてる?」から始まった何気ない会話は、案の定「婚活、ちゃんと続けてるの?」という一言で締めくくられます。「まあ、ぼちぼちね」と笑ってごまかしながら、心の中では小さくため息をつきました。翌朝、高校時代の友人グループのLINEでは、同級生の子どもの入学祝いの話題で盛り上がっています。既読はつけたものの、返信する気になれず、スマホをそっと伏せてしまいました。
誰も悪気があって聞いているわけではありません。それでも「まだなの?」「早くしないと」という言葉を浴びるたびに、婚活そのものよりも、周りの期待に応えられていない自分を責める気持ちのほうが重くのしかかってくる——40代で婚活を続けている方の中には、こんな感覚に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。もうすぐお盆の帰省シーズンです。親戚が集まる場では「結婚は?」という話題が出やすく、今から気が重いという声も少なくありません。この記事では、なぜ40代女性は周囲からのプレッシャーで婚活に疲れてしまうのか、そしてその疲れとどう向き合えばいいのかを一緒に考えていきます。
なぜ40代女性は婚活で疲れてしまうのか
努力が報われない徒労感・期待と落胆の繰り返し
婚活には「これだけ頑張れば必ず結果が出る」という保証がありません。プロフィールを見直し、休日を出会いのために使い、勇気を出してメッセージを送っても、次につながるとは限らない。この「頑張りの量と結果が比例しない」感覚は、それだけで人の心を消耗させます。結婚相談所大手のサンマリエが婚活中の男女505名を対象に行った調査では、婚活中の約8割が「婚活疲れ」を感じており、女性が疲れを感じる要因として「身近な人からのプレッシャー」を挙げた人も一定数いることが分かっています(出典:株式会社サンマリエ「婚活疲れ」に関する調査)。同調査では、心理的な負担の要因として「結果に対するプレッシャー」が38.1%で最多、次いで「自己肯定感の低下」が36.8%、「気軽に人に相談できない孤独感」が26.7%という結果も出ており、婚活の疲れが本人の内側だけでなく、周囲との関係性からも生まれていることがうかがえます。
体調の波(プレ更年期・更年期)が重なるケース
周囲からのプレッシャーが重くのしかかる時期は、ちょうど体調の変化と重なりやすいという事情も見逃せません。更年期は一般的に閉経の前後5年ずつ、合計しておよそ10年間を指すとされ、平均的な閉経の時期は50歳前後といわれています。この時期には女性ホルモンのエストロゲンが減少し、心の安定に関わるセロトニンの産生にも影響を及ぼすことが知られています。だるさやほてり、寝つきの悪さに加えて、理由のはっきりしないイライラや涙もろさを感じる方も少なくありません。
「早く結婚しないと」というまわりの声を、心も体も万全な状態で受け止められればまだいいのですが、ホルモンバランスが揺らいでいる時期に同じ言葉を浴びると、必要以上に深く突き刺さってしまうことがあります。「最近やけに落ち込みやすい」「以前ならさらっと流せた一言が、今はずっしり重い」と感じるなら、それは気持ちの弱さではなく、体のコンディションが影響している可能性も十分にあります。
「婚活疲れ」が出すサインと放置のリスク
周囲からのプレッシャーによる婚活疲れには、いくつかの分かりやすいサインがあります。
- 家族からの電話やLINEの通知を見るだけで、身構えてしまう
- 同窓会や友人との集まりに「結婚の話題が出そうだから」という理由で行きたくなくなる
- 「まだなの?」の一言に、以前より強く傷つく自分に気づく
- 婚活の進み具合を、他人のスピードと比べて焦ってしまう
- 「早く結果を出さなければ」という義務感で活動していて、楽しさを感じられない
こうしたサインを放置してしまうと、婚活そのものが「自分のための活動」ではなく「周囲を安心させるための義務」にすり替わってしまいます。焦りながら活動を続けると、本来なら大切にできたはずの相手選びの基準まで揺らぎ、「条件は正直微妙だけど、早く決めなければ」という気持ちだけが先走ってしまうことも少なくありません。結果として、本当は違和感があった相手との関係を無理に続けてしまい、あとになってつらい思いをするケースもあります。婚活サービス大手のIBJが利用者400名を対象に行った調査でも、約7割にあたる287名が「婚活に疲れたと感じたことがある」と回答しており(出典:IBJ「婚活に疲れたと感じる人は約7割」)、この疲れは決して特別なものではありません。だからこそ大切なのは、疲れを我慢して隠すことではなく、早めに気づいて対処することです。周囲からの言葉に一喜一憂する日々が続いているなら、それは「自分の意思で選んでいる婚活」から、「周りに急かされてこなしている婚活」へと、気づかないうちに姿を変えてしまっているサインかもしれません。
疲れたときの対処法
一度立ち止まる・休む勇気
周囲からのプレッシャーで疲れてしまったときは、無理に婚活のペースを保とうとせず、一度しっかり距離を取ることが回復への近道だといわれています。「少し手を抜く」よりも「いつ再開するか決めずに、気持ちが落ち着くまで休む」と割り切ったほうが、結果的に前向きな気持ちで再開しやすくなります。休むことは、これまでの頑張りを無駄にすることではありません。むしろ、周りの声に振り回されず自分のペースを取り戻すための、必要なひと呼吸です。
自分のペース・体調に合わせた出会い方を選ぶ
休息のあとに大切なのは、再開のペースを「周囲の期待」ではなく「自分の心と体の状態」を基準に決め直すことです。体調が優れない時期は活動量を減らし、調子がいいときに集中して動くなど、柔軟な調整をしてかまいません。サンマリエの調査でも、婚活疲れの解消法として「一人で抱え込まず誰かに相談する」と答えた人が36.4%で最多となっています(出典:株式会社サンマリエ「婚活疲れ」に関する調査)。周囲からのプレッシャーに一人で耐え続けるのではなく、婚活の状況を客観的に整理してくれる相談相手を持つことが、ペースを守るための現実的な一歩になります。
「疲れたのはやり方のせい」という気づき
母からの電話のあと、私が本当につらかったのは「結婚できていないこと」そのものよりも、「誰にも状況を説明できないまま、一人で家族や友人の期待を受け止め続けること」だったのだと、あとになって気づきました。婚活の進み具合も、うまくいかない理由も、すべて自分の中だけで処理しようとしていたから、周りの何気ない一言が実際以上に重く感じられていたのです。
「早く結婚しなきゃ」と急かされるたびに自分を追い込んでしまうのは、意志が弱いからではありません。本当の問題は、婚活の状況を誰とも共有せず、一人きりでプレッシャーを受け止め続けるという「やり方」そのものにあることが少なくないのです。同じ状況でも、進捗を一緒に整理し、周囲にどう伝えるかまで相談できる相手がいるかどうかで、心にかかる負担は大きく変わります。プレッシャーに押しつぶされそうになったのは弱さではなく、「一人で抱え込む環境が、そもそもしんどかった」だけ——そう捉え直せたとき、次の一歩が少し軽くなるはずです。
実際、母に対しても「頑張ってるけど、なかなか難しいんだよね」と本音を伝えられたのは、活動の進み具合を客観的に整理してくれる相談相手ができてからでした。誰かと状況を共有できているというだけで、同じ「まだなの?」という一言でも、以前ほど重く感じなくなったのです。
一人で頑張らなくていい
周囲からの「まだなの?」に振り回されず婚活を続けるには、状況を客観的に見てくれる存在がそばにいることが大きな支えになります。結婚相談所では、プロのカウンセラーが活動のペースや進み具合を一緒に整理し、「今、無理をしていないか」「次はどんなペースなら続けられそうか」を客観的な立場から一緒に考えてくれます。家族や友人には話しにくい焦りや疲れも、プロ相手なら安心して打ち明けられるという声も少なくありません。
今すぐ結果を出す必要はありません。まずは、周囲には言えなかった今の気持ちを、誰かに話してみることから始めてみませんか。
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